精神医学と脳科学を融合して診療に還元
診断・治療が難しいことも臨床現場ではよく遭遇します。また、精神疾患に対する周囲の理解が乏しく、ご本人が不利益を被ることも少なくありません。精神科医の一つの使命は、日進月歩で進歩している基礎医学・脳科学の知見を臨床応用して、新しい診断・治療法へと繋げて臨床医学・精神医学および診療へ還元することです。精神疾患を他の身体疾患と同じように説明可能なものにできれば、不利益を被ることが減るかもしれません。そのためには、精神科医が臨床医学と基礎医学の両者に精通し、融合する努力をし続けることが大切だと考えています。私は、bed side-to-bench・bench-to-bed sideというスタンスで、うつ病などの気分障害の病態にグリア・炎症のプロセスが関与する新しい視点から血液・髄液バイオマーカーの候補を見出し、また、抗うつ薬の新しい作用点がグリアのリゾフォスファチジン酸1受容体(LPA1)であることを見つけました。熊本大学は幸い、基礎医学が伝統的に盛んな基盤があり、分子脳科学講座などの基礎医学、他の臨床医学の教室と密に連携しながら、診療に還元する挑戦をしたいと考えています。
熊本大学は、九州の中心に位置する熊本市にありアクセスも良く、阿蘇山・天草などの自然に囲まれ、人情に厚くとても心地よい土地です。今まさにスタートしたばかりですが、この地、熊本大学で私たちと一緒に歩みませんか?
このサイトを訪れていただいたことが、皆さんとの出会いの一歩となることを期待しています。
平成30年8月
熊本大学大学院生命科学研究部
神経精神医学講座
教授
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